棚からまるがお

ぼたもちよりは役に立ちます in ブリュッセル

イギリスに行って考えたこと

日本はもう桜が散り始めてるらしいですね。遅れること数週間、ベルギーも随分暖かくなってきて、ぼちぼち春服が稼働しはじめました。ちなみに昨夜は20時頃ようやく陽が沈みました。これからの季節は、最長で22時頃まで明るい日々が続くそうです。ベルギーに来てからは「仕事を終えて帰宅する」というルーティーンがないため、「陽が沈みかけたら夕食の準備を始める」という生活を続けてきました。しかしここ数日「あれいま何時かな、、、19時!!!!!!!」みたいなことが続いており、順調に夕食が遅くなっています。健康のためにも20時には食べ終わりたいのですが、難しいところです。

 

先日イギリスに行ってきました。ロンドンとエジンバラを2泊3日で回りました。大英博物館に行きたい夫がロンドン旅行を企画していたところに、私の希望でエジンバラをぶち込んでもらいました。結果これが大正解、エジンバラ最高でした。スコットランド強い。また行きたい。アイルランドにも行きたくなりました。東京が日本のすべてではないのと同じで、ロンドンもイギリスがのほんのわずかな一面に過ぎなかったんだなと。ロゼッタストーンのTシャツを買ったのと、ヒースロー空港の第二ターミナル(一番新しいターミナル)でスケールの大きさと洗練されたデザインとハイテクさに大興奮したのが私たちのロンドンダイジェストです=結論:ロンドンはもういいかな。

旅行の写真はインスタにあげたので、ここには違うことを書こうと思います。イギリス滞在中に思ったことです。

 

みんな英語しゃべってるやんwww

イージーすぎるwww

 

どういうことか。2つあります。

ひとつは私たち自身が「英語で意思疎通できるやん!やったぜ!」ということ。ヨーロッパなら英語はどこでも通じそうに思えますが、国や地方によっては「とりあえず英語ができれば」というのもままならないところが多くあります(特にフランス語圏!!!!)。ドイツでドイツ語のメニュー片手に夫婦で白目をむいたこともありました。だけどイギリスでは英語さえ話せればOK。なんでも英語で書いてあるし、みんな英語を話します。最強かよ。白目どころか涙でるわ。

 

で、もうひとつ。これが今回の本題なのですが(ここまでおよそ900文字)、「(訛りとか移民とかそういう事情は一旦おいといて)国民全員の第一言語が同じっていいよな」ということ。ブリュッセルに住み始めてはや3か月、最初は日本とブリュッセルの違いにあわあわしていた私も、いっちょまえにブリュッセルと諸外国を比較するようになりました。おーこわ。

前にこのブログにも書いたかもしれませんが、ベルギーの言語事情は複雑です。まず、オフィシャルな公用語は、オランダ語・フランス語・ドイツ語。すでに3言語。じゃあベルギー中どこでもこの3言語が通じるのかというと、そうではありません。地域によって線引きされていて、オランダ語を主言語とする地域、フランス語を主言語とする地域、ドイツ語を主言語とする地域、オランダ語とフランス語両方を主言語とする地域(両語圏と呼ぶ=ブリュッセルのことです)、に分かれています。

※現状を分かりやすく説明するために「地域がわけられている→言語が異なる」というロジックで説明しましたが、正確には順番が逆で「異なる言語を話す→言語ごとに地域をわけた」という感じです。念のため。

 

歴史的な流れで(超おおざっぱ)、違う言語を話す人がひとつの国に統合したわけです。なおこの辺の歴史は絶賛勉強中。最近読んだ本ですが、めちゃくちゃおもしろかったので紹介します。アフィリエイトじゃないので遠慮なくぽちってください、電子書籍もあります。

 また気が向いたら感想をここに書こうと思います(恥ずかしながら世界史の知識が乏しいので1回で消化しきれませんでした。が、そんな人でも楽しめる本であることは確かです。さすが中公新書物語シリーズ、ハズレがない。)

 

本のおすすめが挟まってしまいました。

現在公用語を3言語抱え、いわゆる「多言語国家」なベルギーですが、それでみんな仲良くやってるのかというと必ずしもそうではないようです。日本語を話す日本人が日本という国を形成しているように、言語は、ときに単なるコミュニケーションツールではなく、もっと大きなそれ以上の力をもつものです。だからこそ、「統一すべきだ」と考える人も少なからずいるようで、いまも政治の場で議論が続いています。

 

いま私は、そんな複雑な国、中でも「両語圏」という、日本人からすると「なんやそれ」という地域に住んでいるわけですが、ブリュッセルの街中はいたって平和です。いまだに言語問題が議論されているなんて全く知らず、「オランダ語とフランス語が仲良く共存している街だな」くらいに思っていました。

そのくらい、オランダ語・フランス語併記が浸透しているのです。詳しく調べていませんが、オフィシャルに両語圏となっているので、併記しないといけないという決まりなのかなと思います。

公共交通機関の案内表示とかはそこまで違和感はなかったのですが(日本でも日本語の下に英語中国語韓国語と続くパターンが増えてきたので)、流通しているあらゆるものの商品パッケージもすべて(最低でも)2言語で併記されています。中には、ドイツ語も含めた3言語のものもありますし、たまにEU圏内で同じものが流通している場合(例えばハインツのケチャップとか)は、それらの後にイタリア語、スペイン語ポルトガル語、ロシア語、、、、と続きます。でもまあこれはだいぶレアアイテムです。ほとんどが2~3言語併記。

 

例えばこれ。カルフールで魚を買ったときのバーコード表示です。

魚の名前はもちろん、そのあとの説明書きや項目(価格、消費期限など)まで全部併記。日本のスーパのバーコードと大きさはそんなに変わりません。すなわち字が小さい。スーパーで老眼鏡とりだすおばあちゃんをよく見かけます。

 

 

その2。でましたみんな大好き洗濯シリーズ。これは硬水に含まれるカルキを除去するために洗剤と一緒に入れる必須アイテムです。

黒太字の商品名が「ANTI(アンチ、これは英語?)- KALK(オランダ語でカルキ)/ CALCAIRE(フランス語でカルキ)」となっていて、その下のネイビーの文字は上からオランダ語・フランス語・ドイツ語で「洗濯機用タブレット」と記載されています。絵が描いてあるところもすべて3言語表示です。

 

 

食品も同じです。豆乳。BIOブームなので、日本より安く手に入ります。でも味は紀文のやつが一番おいしいです。

こちらはメインの黒文字は英語。その下に白字で「豆乳飲料シュガーレス」と3言語表示。

 

ラスト、よくできているなと思うお気に入りのパッケージを載せます。ココナツオイルです。

フランス語とオランダ語が上下に書かれていますが、同じ向きの箇条書きではなく、逆さまに記載されています。丸いビンの形も手伝ってフェアな感じがするし、エクストラバージンというややこしい表現を英語に頼るところも含めていいなと思います。フランス語の「HUILE DE NOIX DE COCO」の「DE NOIX DE」の字の小ささに制作者の魂を感じるのは私だけでしょうか。

 

その他、各種化粧品とか日用品も全部併記です。裏面の注意書きとかは細かい字でピャーーーーーっと書いてあります。情報をひとつ追加するにも、単一言語と比べて2倍、3倍のスペースが必要になるわけで、ベルギーのパッケージデザイナーはさぞ頭を悩ませているのだろうなあといろんな商品を見るたびに思います。めちゃくちゃやりがいのある仕事なんだろうけど。

当初は「(複数言語併記を徹底するって)すごいよなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、本を読んで歴史を少しかじって、地図上ではすぐ近くなのに全く状況の異なるイギリスを見て、これはベルギーが過去経験した言語に関する争いの結果であり、言語は違うけど一つの国としてやっていくための妥協策なのだということを学びました。物知りな人なら当たり前のことなのかもしれませんが、私にとってはとても新鮮で興味深い事象です。なんとなく住んでるブリュッセルの風景が違って見えるような気がします。大げさじゃなく。

あと、こういう問題を急いで強引に力で解決しようとするのではなく、とりあえず難しい話は先延ばしにして、まずは目先のワッフルとビールとフリットをみんなでゆったり楽しむ国民性(これあながちウソではないみたいです)も、悪くないなと思えてきました。染まりすぎないように気を付けながら楽しみます。

毎度消費カロリーの高いブログですみません。インスタと自分の日記(ほぼ日手帳)とブログのすみわけが難しく絶賛迷走中です・・・・

 

 

最後に、イギリスで買ったおいしいお菓子。バターファッジ。

 

イージーだよなあ。